天上歌劇の扉を開け!


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倉垣さんが先日のブログでアングラ即ちアンダーグラウンドに帰るなどとボケなことをぬかしている。
否定や批判はいくらでもどうぞとのことなので遠慮なくさせてもらう。
 
まず、アングラとは何かについて。
恐らく実際に日本のアングラ演劇を見聞きしている者にとって、アングラがunder groundの略でない事は体感的に分かっているはずだ。under groundの日本的な言い方をするならば、地下世界と言った方が遥かにしっくりくる。
ではアングラとは何の略か。別役実氏曰く、「暗黒の土竜」の略である。ひらがなで書けば「あんこくのもぐら」だ。この、ちょっとダサい感じが、ひじょーにアングラ臭い!
「under ground」から想起される物はジャズやマリファナ、ディズニーランドなどだが、  「あんこくのもぐら」からは血と不条理と、悲しいまぬけさが滲み出ている。「生まれたことが悲劇」というのがアングラである。実際、全ての人間は、「生まれたことは悲劇なのだよ」と教えられれば納得するであろうし、それは一つの正解だ。そしてその悲劇的人生を「ほら、人生はこんなに不条理だよ!僕だって君だってこんなに酷い目に遭ってるんだ!そら!悲しい!!(でも気持ちいい)」とやってのけたのがアングラ演劇である。そして悲劇の原因とは、コントロールできない大きな力である。それは国家であったりムラ社会であったり父や母であったり教師や上司であったりする。それらに翻弄されたり抵抗したりするのを最高にかっこよく、かつ滑稽に描いたのがオリジナルのアングラであると僕は思う。
 
現代ではどうか
「生まれたことが悲劇」という感覚が、薄れている。それは変わらないはずなのに、敵の様子と、僕たちの得ることのできる情報量が圧倒的に違うから。また、現代の不条理は、薄く緩く、まるで自分自身に原因があるから酷い目に遭う気がするやり方で襲ってくる。情報量が先か、教育のせいか、はたまた人間が変わったのか、どんなにむかつく事があっても「仕方がない」だの「あの人にだって事情がある」だの「俺が何をしたって何も変わらない」だの、そんなお利口な反応になってしまう。例えば原発に関して、東京電力本社が爆破されたり政治家が殺されたりデモを注意した警官が八つ裂きにされたりしない。なぜだ!反原発デモに出会ったら、デモの人間に交じって「ぶっ殺せ!」とシュプレヒコールを仕掛けてみたり、公共物に向かって投石したりしてみようと考えているのだがなかなかそういった好機に恵まれない。今、デモしてる人たちは、中にそういうのが紛れ込んだ場合どんな反応をするのだろう?
話を戻そう。現代のアングラとは何か。答えは、観客の知識が増えたことと細分化されすぎたことの二点によって成立しないということ。情報は一つだけの方が信じやすい。熱狂は信じることから生まれる。しかし、細分化された微妙に違うものの乱立と、それらについて知る機会の増加。さらに、不条理の正体もまた細分化され過ぎ、的が絞りにくい。
私は、現代では本来の意味の「アングラ」は成り立たないと思う。敵の形が違うから!
 
アングラからアパグラへ
アングラってのはもうできないっぽいとして、石井飛鳥は何がしたいんだよーということになると思う。僕がやりたいのは、天上歌劇だ。それはupper groundでありアッパーな土竜である。アッパーグラウンドオペレッタ即ち天上歌劇。井上ひさし氏曰く「喜劇作家の理想とする状態は、終演後に観客が全員笑い過ぎて死んでいることです。」だそうだ。喜劇作家物騒過ぎる!というのは置いておいて、アパグラ作家としての私の目的は「終演後に観客がイキまくってアへ顔ダブルピースしてる状態」だ!(喜劇作家と比べると随分温和な気がするが・・・。)常識と倫理をぶっとばしたところの、ほらこういう事はこんなに気持ちいいんだよという刷り込みを観客に対して行い、観客の人生を少しでも遊び心のあるものに換えてしまいたい!さらには、いつの間にかあんなことは昔は禁忌だったけど、今では常識だよねーという、根本的な倫理感の歪曲を行いたい!ちょっと想像してみてほしい。あなたの右手と恋人の左手を繋いで、壁に押し当てる。あなたは左手に釘を持ち繋いだ手に当て、恋人が右手で金槌を持ちその釘を繋いだ二人の手に貫通させる。そんなことが常識となった世界を!(個人的な素晴らしい世界を想像したら論点がずれた気がする・・・。)
僕たちがやりたいのはこうだ。
気付きの快楽を与えていたアングラから、人生に持ち帰れる快楽を与えるアパグラへ!
 
天上歌劇の世界へようこそ! 廻天百眼が、あなたの精神を進化させ、より良い日常と遊び心を提案いたします!

 

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“うらよみ演劇用語辞典” (別役 実)

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